映像の世紀 バタフライエフェクト
9.11.同時多発テロへの点と線
NHKの「映像の世紀 バタフライエフェクト 9.11 同時多発テロへの点と線」は、
2001年9月11日だけを見るのではなく、
そこに至る長い歴史の「点」
をつないで「線」にする番組です。
2022年9月12日に放送された45分の回です。
この番組の最大のポイント
一言でいうと、
9.11は突然生まれた事件ではない。
ということです。
番組は特に、
ロックフェラー家
↓
石油
↓
サウジアラビア
↓
ビンラディン一族
↓
オサマ・ビンラディン
↓
アメリカへの敵意
↓
アルカイダ
↓
2001年9月11日
↓
ワールドトレードセンター
という「点と線」を描きます。
① 石油という「点」
1930年代、ロックフェラー家が創業した石油会社
がサウジアラビアに進出。
石油開発によってサウジアラビアの経済
は大きく変化していきます。
そして、その過程で急成長した建設会社が、
サウジ・ビンラディン・グループ
です。
つまり、
アメリカの巨大石油資本
と
後にアルカイダ指導者となるオサマ・ビンラディンの一族
が、歴史の早い段階では経済活動
を通じてつながっていた。
ここが番組の非常に象徴的な「点」です。
② 「協力関係」が「敵対関係」に変わる
ここがバタフライエフェクト的です。
最初から、
アメリカ vs ビンラディン
だったわけではありません。
むしろ、
石油開発・経済発展・建設事業
という形で、両者の世界はつながっていました。
ところが、その後、
中東におけるアメリカの影響力
サウジアラビアへの米軍駐留
イスラエル・パレスチナ問題
湾岸戦争
など、
さまざまな出来事が積み重なり、
オサマ・ビンラディンのアメリカへの敵意
が強まっていきます。
つまり、
昨日まで「つながり」だったものが、
いつの間にか「対立」の原因になる。
これがこの番組の重要なところです。
③ そして「世界貿易センター」という皮肉
さらに象徴的なのが、
ワールドトレードセンター
です。
番組では、ロックフェラー家が建設を推し進めたこの巨大建築物が、
後にビンラディンによるテロの標的になるという、
非常に皮肉な歴史を描いています。
つまり、
ロックフェラー家
→ 石油
→ サウジ
→ ビンラディン一族
→ オサマ・ビンラディン
→ アメリカへの敵意
→ WTC
という、何十年にも及ぶ「点」が一本の線になる。
「冷戦終結」
「ゴルバチョフ」
「ソ連崩壊」
「情報戦」
「非暴力」
「勇気の連鎖」
などとも共通しています。
歴史を見るとき、
「誰が悪い?」
だけで見ると、そこで思考が止まります。
しかし、
「その人・その国は、
どういう過去の出来事の連鎖によって、
そこまで来たのか?」
と見ると、歴史が立体的になります。
これがまさに、
「点と線」
です。
さらに重要なのは「連鎖」
9.11そのものだけを切り取ると、
テロリストが飛行機をハイジャックした
という一つの事件です。
しかし歴史を遡ると、
石油
↓
中東へのアメリカの進出
↓
サウジアラビア
↓
ビンラディン一族
↓
アフガニスタン
↓
ソ連との戦い
↓
イスラム過激主義
↓
アルカイダ
↓
9.11
↓
アフガニスタン戦争
↓
イラク戦争
↓
世界の安全保障・監視・テロ対策の変化
という巨大な連鎖になっていきます。
9.11後、
アメリカが「テロとの戦い」を掲げ、
アフガニスタン戦争やイラク戦争へ進んだことも、
9.11が世界を大きく変えた重要な部分です。
「バタフライエフェクト」の見方
このシリーズを見るときは、
事件を見る
だけではなく、
① 何が起点だった?
② その時は誰も重要だと思っていなかった「小さな点」は何だった?
③ その点が何とつながった?
④ 途中で別の選択肢はなかったか?
⑤ 最終的に誰がどんな影響を受けた?
と考えると面白いです。
そして9.11の場合、特に重要なのは、
「敵」と「味方」は最初から固定されていたわけではない。
ということです。
経済的な協力関係が、
政治的対立になり、
宗教的・思想的対立になり、
最終的には暴力へと変わっていく。
これはまさに、
「点が線になり、線が歴史になる」
という「映像の世紀」の核心だと思います。





